sain inenggi! mini gebu UNO-T kai. ere mudanci bi ere blog be manju gisun i arara seme gūnimbi. ere gisunbe yargiyani baitalame urebure jalin inu. aibe ararangge be toktoro unde gojime, kicere seme gūnimbi. gingguleme hūlarangge hacihiyambi.
どうも、言語オタクのUNO-Tです。
皆さん、上記の文章、解読できましたでしょうか。
解読できない方のために、わかりやすくエスペラント語で訳してみましょう。
Bonan Tagon! Mia namo estas UNO-T. De ĉi tiu tempo, mi pensas skribi ĉi tiun blogon per la Manĉura lingvo, ĉar ĉi tiun lingvon efektive uzas kaj ekzercas. Mi ankoraŭ ne decidas kion mi skribas, sed mi diligente faros. Bonvolu legi.
ほら、これでもう分かったでしょう? え? まだわからない?
しょうがないですね。日本語訳してあげましょう。
こんにちは! 私の名前はUNO-Tです。今回から、このブログを満州語を使って書いていこうと思います。この言語を実際に使って、練習をするためです。何を書くかはまだ決めていませんが、頑張っていこうと思います。ぜひ読んでください。
さすがにこれを理解できない日本人はいないと思います。もしいたらそれは義務教育の敗北、いやそれ以前に言語能力的な問題があると考えて差し支えないでしょう。
冗談はさておき。
このように、自分はいろんな言語を学ぶことを趣味としています。今まで学んだ言語を挙げると、英語、古典日本語、中国語、韓国語、古典ギリシア語、アイヌ語、そして満州語とエスペラント、といった感じです。
残念ながら、そのうち半分が現在日常的に用いられていない、あるいは話者人口が極端に少ない、といった状況で、しかも他の言語に関しても、正直日常会話すら怪しいレベルです(英語はそこそこ話せますが)。
「話者人口が極端に少ない」と言いましたが、その中でも、こと満州語においては、現在はこれを第一言語とする人は、多くて10人ほどといわれています。自分が学んだのも、いわゆる文語、つまり文章を書くための満州語で、会話をするための口語満州語の話者は、数えるほどしかいません。
ところで、そもそも満州語とは何ぞや、と思われている方が多数だと思いますので、ここでちょいと解説をば。
「満州語」とはほとんど文字の通り、「満州族の言語」です。満州族というのは、中国に居住する少数民族のひとつで、かつて中国最後の王朝である清を築いた民族です。
そんな彼らのふるさとが、朝鮮半島の北、ロシアの東端の南の一帯、「満州」です。満州事変、満州国といった単語は、日本史を習った方なら聞いたことがあると思いますが、その舞台がまさにそこでした。その地域にはかつて、清の前身となる王朝「金」があって、満州族も「女真」と呼ばれていました。金がモンゴル系の元王朝に滅ぼされ、彼らが元、そのあとの明に支配を受けたのち、新たに「後金」という王朝を建てて、その支配力が中国全土に広がって清となりました。
清は満州族の王朝でしたから、当然公用語は中国語・モンゴル語のほかに、満州語も含まれていました。皇帝の一族は皆満州語を用い、一部の官僚も同じ言語を使いこなして、政治に参加していました。
しかし、清が衰退・滅亡したのち、元々数の少なかった満州族は、多数派の漢民族に追いやられ、今では少数民族のひとつにすぎなくなってしまいました。
当然、これによって満州語を使う人も減少し、中国語教育の普及がさらに拍車をかけ、今では話者10人のスーパーマイナー言語となってしまったのです。
さて、歴史的な背景はこれくらいにして、この言語の特徴について、自分がこの言語を学ぼうと思った理由と絡めて、解説していこうと思います。
満州語は、「ツングース語族」というグループに分類される、「膠着語」の一種です。
何を言っているのかわからないと思いますが、「語族」というのは言語の系統関係、つまり同じ先祖を持つ言語の集まりです。日本語と琉球語(沖縄方言)は同じ先祖を持つので「日本語族」に分類される、といった感じです。
そして「膠着語」というのは、「ある語の文法的役割を、後置詞や接尾辞によって表現する」言語、分かりやすく言うなら、単語の後ろに短い単語や語尾をくっつけて、「目的格」とか「場所」とかの文法的役割を表す言語です。
さて、ここで考えてみてください。日本語では、助詞を単語や語幹の後ろにくっつけて文法上の役割を示しますよね。つまり、満州語も日本語も、同じ「膠着語」なのです。
そのために両者の文法構造は驚くほど近く、語順も基本的に同じなので、文章中の日本語の単語と満州語の単語を、ほぼ一対一で対応させることができます。ですから、日本語を話す人にとっては、比較的理解しやすく、学習しやすい言語なのです。これが、自分が満州語を学ぶ理由、その1です。
また、満州語、およびその語族であるツングース語族は、日本語と系統関係があるのではないか、と言われています。要するに、遠い昔に同じ先祖から派生した可能性がある、ということです。
これは、日本語と満州語の使用地域が近接であること、「語順」「膠着語」などの共通点が多く見られることなどから、そうではないかという議論が出ています。
もちろん、地理的な近さと言語的な近さは、必ずしも対応しているとは言えません(ヒンディー語とスペイン語が同じ語族だったりしますから)。また、膠着語に分類される言語は、世界に山ほどありますし(半分近くを占めるとも)、日本語・満州語のようないわゆるSOV語順の言語も、全言語の4割以上です。しかしながら、全く違う語族の言語がもし本当に同じ先祖から生まれていたら……と考えると、とてもロマンが感じられます。
自分は日本語の起源・系統関係についての研究を、将来しようと考えています。そのため、おのずと満州語という存在に惹かれていったのです。これが、理由その2です。
言語というのは、ただのコミュニケーションツールではありません。
その文法的・音声的特徴から、その言語が背負ってきた歴史的背景、他の言語との関係性まで、あらゆる情報が組み込まれた総合的資料が、「言語」なのです。実際に、満州語ひとつをとっても、語り尽くせないほどの情報を提供してくれるのですから。
もちろん、ひとつの言語を真剣に学ぼうとすれば、莫大な時間がかかりますし、時には学習上の困難も生じるでしょう。ですが、それを超えた先には、その言語を学び・用いることでしか体感できない、新たな世界が広がっています。
と言ったように講釈を垂れておきながら、自分は広く浅く言語を学ぶスタンスをとっています。こちらはあまり時間をかけずに色々な世界を知ることができるので、面倒くさがりな方にお勧めです。
なんだかんだで長々と語ってしまいました。ADHDの悪い癖です。
とにかく、自分は「満州語ってこんな言語なんだよ!」「言語にはこんな魅力があるんだよ!」というのを伝えたくて、この記事を書かせていただきました。
今回は冒頭だけでしたが、機会があれば本当に満州語でブログを書いてみようかと思います。もちろん、日本語訳付きで。
そんなわけで、言語オタクのUNO-Tのコラムでした(最後に「オタク」と「コラム」で韻を踏み、ラッパーであることを見せつける高度なテクニック)。
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